ピッチャー
「禁煙セラピー」→「ピッチャー」
野球の花形といえばピッチャ−四番だろう。
僕は幼少時代からサッカー少年であったが高校生になった頃に飽きてやめてしまった。
帰宅部になり何か運動をしたいなと思っていたところに野球部のキャプテンから声がかかった。
部員が足りなくて大会に出られないから入部してくれないかと。
面白そうじゃないですか。
バットはバッティングセンターでしか握ったことはない素人である。
でも条件がある。
ピッチャーをやらせて欲しい。
渋々僕のピッチャー能力を見てくれるキャプテン。
上にも書いたが僕は野球素人である。
持っている球種、ストレート、へなちょこカーブというよりただのスローボール。
いくら部員の足りない万年地区予選負けの野球部でも僕がピッチャーをやるのには無理があった。
ピッチャーは諦めた。
結局僕は一番、レフト。
足の速さを買われての打順とポジションが与えられた。
大会までのわずかな期間、僕なりに練習に参加し、合宿にも参加した。
そこで学んだこと。守りはなんとかこなせるが全く打てない。
人が投げる球はバッティングセンターとはわけが違った。
そして迎えた一回戦。
打てないと判断したが、一番の役割として出塁したい僕には作戦があった。
内角の玉が来たら当ってやる。
その作戦によりこの日の僕は4打席中3打席はデッドボールにより出塁した。
出塁率75%である。
一塁まで出れば僕には足がある。
盗塁である。
これで二塁打を打ったことと同じシチュエーションを作れる。
僕は一番として大きな仕事を果たした。
最初に書くのを忘れていたが僕の所属した野球部は軟式野球部である。
だからこそデッドボール作戦が実行できたのである。